【断層映像研究会雑誌 第40巻 第2号  2013年8月〜12月】
      連続講座:断層映像法の基礎 第40回 
・ML-EM 法とMaximum a Posterior-EM(Map-EM)法 篠原 広行、他pdf(3.8M)
    第42回
断層映像研究会:抄録集pdf(3M)
     

 

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連続講座

断層映像法の基礎 第40回

ML-EM 法とMaximum a Posterior-EM(Map-EM)法

篠原 広行1)、小島 慎也2)、中世古 和真3)、橘 篤志4)、橋本 雄幸5)

1)首都大学東京
2)東京女子医科大学東医療センター 放射線部
3)つくば国際大学保健医療学部 診療放射線学科
4)東京慈恵会医科大学附属病院 放射線部
5)横浜創英大学 こども教育学部



はじめに
 逐次近似画像再構成法の開発経緯を辿ると、代数的方法、最小二乗法、統計的方法に大別される。代数的方法ははじめに開発された手法であるが、圧縮センシング画像再構成の登場によって再び注目されている。第39 回では最小二乗法を逐次近似によって解くための勾配法について解説した。本稿では、勾配法の計算過程と再構成画像を示す。次に最尤推定−期待値最大化(ML-EM)法について図を用いて解説し、ML-EM 法に制約条件を付けたMaximum a Posterior-EM(Map-EM)法について述べる。ここで制約条件とは、画像と投影データの整合性を評価する項(主に画像の分解能に関係する)の他に、画像の事前情報(例えば、画像は負の値を持たない、有効視野内に限定される、近傍画素間で大きく値が変化しない、領域内では滑らかなど)を画像再構成の評価式に加える条件である。画像は近傍画素間で大きく値が変化しない、領域内では滑らかなど制約条件を付けることで、分解能と雑音のバランスをとった画像再構成が行われる。画像と投影データの整合性のみすなわち分解能に着目しただけのML - EM(OS - EM)法は、投影データが雑音を含む場合にはそれに一致するように画像を再構成するため、雑音の影響を強く受ける。その結果、収束せず反復の途中で発散してしまうことがある。一方、Map-EM 法は雑音を含む投影データにも頑健であることが知られている。第39 回で紹介したTotal variation ノルム(TVノルム)は画像の分散を小さくする制約条件であるが、本稿では、Map-EM法の1 つとしてメディアンフィルタをML-EM 法に組み込んだmedian root prior-EM(MRP-EM)法を紹介する。


  

 1.最小二乗法の逐次近似計算
 2.最尤推定−期待値最大化(ML-EM)法
 3.完全データの条件付き期待値
 4.メディアンフィルタ
 5.メディアンフィルタを用いたMAP-EM 法(MRP-EM 法)

 

 

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