症例報告

両側卵巣腺線維腫の1例

鈴木　淳志1）、楫　靖1）、熊澤　真理子1）、稲村　健介1）、石原　克俊2）、
木内　香織3）、北澤　正文3）、金子　有子4）、石田　和之4）

1）獨協医科大学病院　放射線科
2）友愛記念病院　放射線科
3）獨協医科大学病院　産科婦人科
4）獨協医科大学病院　病理診断科

抄録
　症例は50 歳代の女性。閉経後の不正性器出血を主訴に近医受診。超音波検査で骨盤内腫瘤を指摘され当 院紹介となった。ＭＲＩでは左卵巣由来と考えられる嚢胞性腫瘤を認め、隔壁の一部が密であり増強効果もあ るため、境界悪性の卵巣腫瘍と診断した。右卵巣にもこれより小さいが同様な所見を有する腫瘤があり、子宮 摘出・両側付属器切除術が施行された。両側卵巣にあった腫瘤はいずれも病理診断は粘液性腺線維腫であった。
　両側性の粘液性腺線維腫は比較的珍しいが、腫瘤の一部にＣＴで点状石灰化を認め、T2 強調像でBlack sponge-like appearance と解釈できる領域が存在し、造影像と合わせて評価することが有用と思われた。

Key words :
腺線維腫、MRI、Black sponge-like appearance