MDCT による小腸閉塞診断
長田 久人、渡部 渉、岡田 武倫、大野 仁司、本田 憲業
埼玉医科大学総合医療センター 放射線科
MDCT diagnosis of small bowel obstruction
Hisato Osada, Wataru Watanabe, Takemichi Okada, Hitoshi Ohno, Norinari Honda.
Saitama Medical Center, Saitama Medical School Department of Radiology
要旨
MDCT は薄いスライスやMPR の利用により詳細な評価が可能で、腹痛患者の評価に広く利用されている。急性腹痛患者の中でも小腸閉塞は比較的頻度の高い疾患であるが、MDCT による薄いスライスやMPR 像の利用により、小腸閉塞部の同定やclosed loop obstruction の有無は従来のCTより容易となった。小腸閉塞において、単純性イレウスと絞扼性イレウスの鑑別は治療方針の違いから非常に重要である。絞扼性イレウスのCT 所見としては腸管濃染低下・欠損、腸間膜濃度上昇、腸間膜静脈拡張、腹水などが知られている。腸管壁濃染低下・欠損が最も特異度の高い所見であるが、従来のCT では感度は低かった。MDCT による薄いスライスでは部分容積効果の影響が少なく、腸管壁濃染の評価は従来のCTより可能であり、絞扼性イレウスの診断能の向上が期待される。本稿ではMDCT による小腸閉塞診断の手順、絞扼性イレウス所見、MDCT 所見に基づく小腸イレウスの治療戦略について概説する。
key words
小腸閉塞、絞扼性イレウス、CT, MDCT |