断層映像法の基礎 第41回
圧縮センシングによる少数投影からの画像再構成
篠原 広行1)、小畠 隆行2)、橋本 雄幸3)
1)首都大学東京
2)放射線医学総合研究所重粒子医科学センター
3)横浜創英大学 こども教育学部
はじめに
CT の投影は直線サンプリング数と投影角度数(ビュー数)によって特徴づけられる。直線サンプリング数は1 投影角度あたりのデータ数を示す。投影角度数は被写体の周囲360度あるいは180度についてどのくらいの投影を収集するかを示す。逆投影に伴う線状のアーチファクトを抑制するには、投影角度数M は直線サンプリング数N よりも多く必要なことが知られている。一方、圧縮センシングによって原画像が疎の性質を持つ画像(非ゼロの画素数が少ない画像でスパース画像という)に変換される場合には、少ない投影角度数から画像再構成を行うことができる。少数投影からの圧縮センシング(Compressed Sensing:CS)による画像再構成がCT やMRI において大きな関心を集めるようになったことから、平成25 年度の本誌連載ではその基礎となる逐次近似法で用いられる共役勾配法などの最適化法、Total variation(全変動)ノルム(TVノルム)などについて第39 回、第40 回で解説してきた。本稿では、圧縮センシングによる画像再構成をこれまでの画像再構成と対比するため、はじめにフーリエ変換法、フィルタ補正逆投影法、逐次近似法について復習を兼ねまとめる。次に、Shepp-Logan ファントムや本稿で用いたMRI 性能評価ファントムは微分するとスパース画像に変換できることを示す。そして、このスパース画像のTVノルムを正則化に用いた圧縮センシングによって、投影角度数16 や24 の投影から再構成像が得られることを示す。
1.投影切断面定理
2.フーリエ変換法
3.フィルタ補正逆投影法(FBP 法)
4.直線サンプリング数と投影角度数の関係
5.逐次近似法
6.少ない投影角度数からの画像再構成
7.圧縮センシングによる少ない投影角度数からの画像再構成 |
|