仮想単色X 線CT 画像を利用した前立腺高線量率組織内照射の
治療計画における最適なエネルギー選択に関する検討
畑中 星吾1)、大友 哲也2)、保坂 勝仁2)、渡邉 哲也2)、轟 圭介2)、
中嶋 剛2)、鷲巣 佳奈1)、内海 暢子3,1)、山野 貴史1)、
西村 敬一郎1)、新保 宗史1)、煖エ 健夫1)
煖エ 健夫、本田 憲業
1)埼玉医科大学総合医療センター 放射線腫瘍科
2)埼玉医科大学総合医療センター 中央放射線部
3)JCHO 東京新宿メディカルセンター 放射線治療科
抄録
高線量率組織内照射が前立腺癌に対する治療法としてよく用いられており、CT 画像を利用した3 次元治療計画が一般的に行われている。治療に用いるアプリケータからの金属アーチファクトを低減させるために、2 種類のエネルギーのX 線を用いて取得した投影像から再構成した仮想単色X 線CT 画像を利用する方法などがあるが、最適な設定エネルギーについて検討した報告はほとんどない。そこで本研究では、物理特性および視覚的評価を行い、前立腺癌に対する高線量率組織内照射の治療計画における仮想単色X 線CT 画像の利用について、最適な設定エネルギーを明らかにすることを目的とした。CT 装置にはSiemens 社製SOMATOM Definition Flash を使用した。物理特性はファントム画像を利用したNoise Power Spectrum によるノイズ特性およびContrast to Noise Ratio による低コントラスト分解能で評価した。視覚的評価では実際の臨床画像を使用した。CT 画像を現像したフィルムを13 名が3 つの項目(金属アーチファクト、画像ノイズ、総合評価)について、正規化順位法にて評価を行った。結果より、ノイズ特性は設定エネルギーが70 〜 90 keV、低コントラスト分解能は70 〜 80 keV の場合に最も良好であった。金属アーチファクトはエネルギーが高いほど、画像ノイズは80 keV、総合評価では100 〜 120 keV の場合に最も良好であった。仮想単色X 線像は設定エネルギーが高いほど金属アーチファクトが低減されるが、ノイズが増大する傾向にあると考えられ、ノイズの影響を許容でき、かつ金属アーチファクトがより低減された画像を提供することが重要である。ノイズ特性および低コントラスト分解能は70 〜 90 keV程度が最も良好であるが、金属アーチファクトの低減は不十分であり、アーチファクトおよび総合評価の結果より前立腺癌に対する高線量率組織内照射には100 keV 程度が最適であると考えられた。
Key words :
前立腺癌、密封小線源治療、仮想単色X 線CT 画像、ノイズ特性、低コントラスト分解能
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