【断層映像研究会雑誌 第49巻 第1号 2022年8月】 |
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症例報告
・前立腺Mucinous adenocarcinoma の一例 藤木 和也、他(2022年8月31日)
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症例報告 |
前立腺Mucinous adenocarcinoma の一例
藤木 和也1)、山口 健1)、福井 修一1)、中園 貴彦1)、有働 和馬2)、
野口 満2)、花島 克幸3)、相島 慎一3)、入江 裕之1)
1)佐賀大学医学部附属病院 放射線科
2)佐賀大学医学部附属病院 泌尿器科
3)佐賀大学医学部附属病院 病理診断科
抄録
症例は70 歳台男性。夜間頻尿を主訴に近医を受診。血液検査でPSA 値が11.0ng/ml と高値であり前医紹介となった。前医施行の単純MRI で前立腺に多房性嚢胞性腫瘤を認め、STUMP(stromal tumors of uncertain malignant potential)やcystadenoma、cystadenocarcinoma などが疑われた。更なる精査、加療目的に当院泌尿器科紹介となった。
当院施行の造影MRI では前立腺背側の両葉で移行域、辺縁域にまたがる 48 × 46 × 55mm の辺縁分葉状の腫瘤を認めた。内部はT2 強調像でやや不均一かつ著明な高信号を呈し、隔壁様の構造が多発していた。T1 強調像では大部分は低信号を呈し、腫瘤右側には出血や高粘稠度の液貯留を疑う高信号域を認めた。有意な拡散制限は認めずdynamic study では辺縁優位に漸増性の増強効果を認めた。CT では腫瘤辺縁にわずかに石灰化を認めた。
前立腺生検が施行され、10/10 本よりmucinous adenocarcinoma の所見が得られた。他部位に原発巣を示唆する所見はなく、前立腺原発のmucinous adenocarcinoma が強く疑われた。
前立腺のmucinous adenocarcinoma は全前立腺癌の0.4% と稀な疾患である。腫瘍内に少なくとも25% 以上のムチンを含むと定義されている。今回の症例は手術未施行であるが、全身検索および局所の画像所見からは前立腺原発のmucinous adenocarcinoma として矛盾しない所見であった。画像所見上の鑑別としてSTUMPやcystadenoma、cystadenocarcinoma などが挙げられたが、所見によってはこれらとの鑑別は困難となる場合も多い。前立腺のmucinous adenocarcinoma の画像所見についての報告は少なく、今回文献的考察を含めて報告する。
Key words :
前立腺粘液腺癌、Mucinous adenocarcinoma
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【投稿受付:令和 4年 5月30日】【査読完了:令和 4年 8月8日】 |
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